沖縄の勤務医です。
「最近薄毛が気になる」
「おでこが広くなってきた」
男性読者の中には、このように感じている方もいるのではないでしょうか。
実は私も、20代前半からなんとなく薄毛が気になり出し、25、6歳ころから治療をしています。その効果もあり、今では見た目が気にならないほどに回復し、パーマなど髪型を楽しむ余裕まで出てきました。
私は医者なので、基本的にエビデンス(研究で証明された効果)のある治療しか信用しませんが、調べてみると意外にも薄毛治療にはしっかりエビデンスのあるものがありました。
今回は、私の薄毛治療体験談をご紹介します。
医者の薄毛治療体験
まずは結論から。私が行った治療は下記のとおりです。
- リアップ(育毛剤)約10年間
- ザガーロ (飲み薬) 1年間
この治療でかなり効果がみられ、現在では薄毛はほとんど気にならず、いろんな髪型を楽しめるまでになりました。
実際には
リアップを1年間使用
→リアップとザガーロ併用を1年間
→忙しくて通院ができずザガーロ中止、リアップのみ使用を継続
という流れなのですが、ザガーロを中止してもリアップのみで効果が持続しています。
リアップ男性用
男性型脱毛(AGA)とは
男性型脱毛(AGA)とは、男性ホルモン過剰によって生じる脱毛で、いわゆる「ハゲ」です。最近ではAGAという呼称が定着してきていますが、AGAの最初のAは「アンドロゲン:Androgen」のAなのですね。
実は青年男性の約半数がAGAになると言われています。
AGAの重症度分類としてノーウッド・ハミルトン分類が知られていますが、皮膚科医の友人に聞いたところ、「皮膚科医はほとんど使ってていないけど、重症度の目安にはなる」とのことでした。
ちなみに、更年期の女性に生じる頭頂部中心の脱毛があり、それを女性型脱毛と呼びます。これは女性ホルモンが減少して、相対的に男性ホルモン優位になることで生じるため、本質的にはAGAと同じ原因で起こります。
AGAの治療
実際のAGA治療とはどのようなものなのでしょうか。
私は医者ですから、安易に市販の育毛剤やサプリメントに手を出すことはせず、しっかりと文献を検索し、情報収集を行う責務があります。
それでは私がたどり着いた実際の治療を見ていきましょう。
治療法①:ミノキシジル
まずはじめに行った治療法がミノキシジルの外用です。「リアップ」という商品が有名ですね。
恥ずかしながら、市販の育毛剤は怪しいものばかりかと思っていましたが、ミノキシジルはAGAへの効果が科学的に立証された唯一の育毛剤です。
日本皮膚科学会のガイドラインでも、推奨度Aとなっており、学会お墨付きの治療となっています。
実は開発当初は血圧を下げる薬としての効果が期待されていたらしいのですが、副作用で多毛がみられたため、発毛剤としての作用が注目されたという興味深いエピソードがあります。
作用機序はミノキシジルが毛乳頭細胞を活性化することで、発毛・育毛作用を示すと考えられています。
使用方法は「1日2回、脱毛部に外用」ですが、私は夜に1回塗るだけでもかなり効果がありました。
1本約8000円と高価ですが、薄毛で悩んでいる方はまず、ミノキシジルの外用をおすすめします。
女性型脱毛にも推奨度Aとなっているため、薄毛で悩んでいる女性にもオススメです。ただし、女性用は男性用と比べて濃度の低い商品となっていますので、間違えないようにご注意下さい。
ドラッグストアやAmazonなどでも購入することができます。
リアップ男性用
治療法②:フィナステリド
次にご紹介する治療薬はフィナステリドです。先程のミノキシジル外用液と異なり、飲み薬になります。
フィナステリドは男性型脱毛の原因となる、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが作られるのを阻害する作用があります。これにより、男性ホルモンが原因となるAGAを改善するという原理です。
- 用法用量:1日1錠を毎日内服
- 効果の発現:内服から数ヶ月〜半年後
- 副作用:男性機能障害、肝障害など
- 値段:4000円〜8000円
こちらも、過去の試験でAGAに対してかなりの効果を示しており、ガイドラインでの推奨度Aとなっています。
注意点は、効果の発現に時間がかかる可能性と、男性機能障害や肝機能障害などの副作用です。フィナステリドは基本的には医師の処方がないと使用することができません。
もともと「プロペシア」という先発医薬品がはじめに登場しましたが、現在は後発品(ジェネリック医薬品)の「フィナステリド」も発売され、先発品よりも低価格で購入することができます。
一部、個人輸入サイトなども存在しているようですが、粗悪品のリスクや副作用の観点からも、クリニックを受診して医師の処方を受けることをおすすめします。
治療法③ デュタステリド
デュタステリドは、フィナステリドと同様に、AGAの原因となる男性ホルモンであるジヒドロテストステロンを阻害する飲み薬です。やはりこちらもガイドラインの推奨度A。私も実際に内服しました。
難し良い説明は省略しますが、フィナステリド+αの作用で男性ホルモンの合成を抑えることができます。
大規模な治験の段階では、内服6ヶ月時点でフィナステリドよりも発毛の増加がみられたとのことですが、細かい評価項目ではフィナステリドとデュタステリドで大きな差はないとのデータもあり、現時点でどちらが優れているかは判断が難しい状況のようです。
もともと「ザガーロ」という先発品があり、現在では「デュタステリド」という後発品も販売されています。
用法用量や副作用はフィナステリドとほぼ同様です。
まとめ
いかがでしょうか。
ちまたでは多くの育毛剤が宣伝されていますが、科学的に効果が証明されている薬剤は実は多くありません。
私はミノキシジルは薬剤師常駐のドラッグストアで購入、デュタステリドは皮膚科に通院し処方を受けていました。
現在、AGA治療薬は個人でも手に入る時代になりましたが、副作用などの観点からも、専門のクリックを受診することをおすすめします。
最近では下記のようなオンライン診療クリニックもあります。薬剤の配送なども行っているので、忙しい方に人気のようです。
女性専用のオンライン診療を行っているクリニックもあります。
女性専用AGA治療 FAGA【CLINIC FOR (クリニックフォア)】オンライン診療
参考文献:男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版:日本皮膚科学会
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