沖縄の勤務医です。
読者の皆さんは、子供に突然「医者になりたい」と言われたらどうしますか?
周りに医学部受験経験者がいない場合、子供へのアドバイスに困ることも多いでしょう。
今回の記事では、「沖縄の子供が医学部に入るにはどうすればよいか?」というテーマを考えてみたいと思います。
医者になるにはこの高校に入ろう!
まずはじめに、沖縄に限らず全国共通して言えることは、医学部に合格できるかはどの高校に通うかで9割方決まってしまうということです。全国の医学部合格者数ランキングを眺めてみると、毎年ほぼ同じ顔ぶれで、私立の中高一貫校が上位を占めてることがわかります。
これは沖縄でも同様の傾向にあり、例年沖縄から国公立医学部医学科へ合格する人数は現役生、浪人生合わせて70〜100人程度ですが、そのうち、9割以上を昭和薬科大学附属高校、沖縄尚学高校、開邦高校、球陽高校の4校の生徒で占めているのです。
このようなデータから、「沖縄の子供が医学部に入るにはどうすればよいか?」の答えは「昭和薬科大学附属高校、沖縄尚学高校、開邦高校、球陽高校のいずれかに進学する」もしくは「県外の進学校に通う」ということになります。
これらの高校は、例年医学部を志望する生徒が多く、学校としてもある程度合格のノウハウを持っています。同じ志を持った同級生と切磋琢磨することができますし、学校側も過去卒業生のデータから、「この大学の医学部なら学年で何位以内の成績をキープする必要がある」という風に進路指導することができるのですね。
中学受験をする
沖縄トップである上記4校の共通点は、中高一貫校であることです。中高一貫校の利点は、先取り教育により高校2年生までに高校の履修範囲を終了し、高校3年の1年間を受験勉強に専念できることです。
実際にはそれぞれの学校で進度や授業方法にバラツキがあると思いますが、沖縄の内申重視のやっかいな高校受験を回避できる点もかなり大きなメリットでしょう。
4校のうち、昭和薬科大学附属は完全中高一貫校で高校からの入学はできないため、中学受験でしか入ることができません(編入試験で入学という裏技はあります)。
その他の3校は高校入試も実施していますが、先取り教育という観点から考えると、中学受験をしてじっくり6年間大学受験に備えることが得策かと思います。
上位の成績をキープする
4校のうちいずれかに晴れて入学できれば安泰!とういわけではなく、入学後も上位の成績をキープする必要があります。
下に各学校の医学部合格実績を示します。国公立医学科の中では比較的入りやすい琉球大学でさえ、現役合格するためには、昭和薬科大学附属で上位30〜50番以内、その他の高校では少なくとも上位10〜20番以内には入る必要があるといわれています。
それぞれ1学年200-300人の生徒がいますから、上位の成績をキープするのは簡単ではありませんね。
2022年度 沖縄県内進学校 医学部合格者数 (カッコ内は現役合格者数)
国公立医学科 | 県外国医 | 琉球大学医学科 | |
昭和薬科 | 47 (30) | 19 (11) | 28 (19) |
開邦高校 | 15 (不明) | 5 (不明) | 10 (不明) |
沖縄尚学 | 11 (5) | 5 (2) | 6 (3) |
球陽高校 | 5 (4) | 1 (1) | 4 (3) |
それ以外の高校は?
ここまで読まれた方の中には、「ちょっと待って、私の周りには4校以外の高校から医学部に合格した子がいるよ。」という人もいるかも知れません。
確かに、トップ4校以外の高校からも例年、医学部合格者が出ています。琉球大学医学科の2022年度合格者をみてみると、興南高校3名、那覇高校2名、向陽高校1名、宮古高校1名となっています。
ただし、トップ4校以外の医学部合格者の特徴として、
・県外医学部の合格者はごくわずか
・琉球大学地域枠での入学が多い
・現役合格者は少ない
この3点が挙げられます。
これらの高校の合格実績はトップ4校と比べると、かなり見劣りしてしまうのが現状です。
ちなみに、私は地域枠入学は可能な限り避けるべきという考えです。
詳細は下の記事をご覧下さい。
まとめ
いかがでしょうか。
医者になる夢を叶えるには、ただがむしゃらに勉強すればよいのではなく、ひとつひとつステップを踏む必要があります。
今回は書きませんでしたが、それぞれの学校に入学するために、合格のノウハウを持った中学受験塾や高校受験塾に通う必要もありますね。
自分の子供に医者になりたいと言われた場合、現時点では「それなら、トップ4校に行かないとね」と返答することがお子さんの夢への第一歩になるでしょう。
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